URLをコピーしました。

ごみ・水・素材・もの──循環する命のかたちをたどる「EXPO 2025 大阪・関西万博」

2025年の大阪・関西万博で、日本館は「いのちと、いのちの、あいだに」をテーマに掲げ、日本の「循環型ものづくり」の思想と技術を紹介している。展示は3つのエリアで構成され、それぞれ「ごみ」から「水」へ、「水」から「素材」へ、「素材」から「もの」へという循環の過程を表現する。

第1弾では、「水」から「素材」への循環をテーマにしたファームエリアを公開。主役は、光合成によって太陽エネルギーを蓄え、多様な有機物を生み出す藻類である。藻類は、限りある化石資源への依存や食料問題など、現代社会が抱える課題を解決する鍵として注目されている。

展示では、藻類の魅力と可能性を、ハローキティが32種類の藻類に扮して紹介。ミカヅキモやケイソウ類、ワカメやヒジキなど、馴染みのある藻類から、三角形や正十二面体のようなユニークな形状をもつ顕微鏡レベルの藻類まで、多様な姿が楽しく表現されている。藻類に変身したハローキティのキャラクターデザインは、株式会社サンリオの協賛によって制作されたオリジナルだ。

また、ファームエリア内には、藻類を培養する「フォトバイオリアクター」が立体的に配置され、来場者に幻想的かつエネルギッシュな空間体験を提供している。展示されているのはスピルリナという藍藻類の一種であり、幾重にも連なるフォトバイオリアクターが生み出す光と影の空間は、まるで森林浴のような癒しを与える。藻類による“有機物生産工場”の可能性を、視覚的にも印象的に提示している。

藻類は、培養された後、化粧品、衣類、食品、さらには医薬品、燃料、バイオプラスチック、繊維など、幅広い分野の素材として活用されていく。このように、藻類の力と日本が誇るカーボンリサイクル技術が融合し、新たな循環型素材が生まれるプロセスを体感できるのがファームエリアである。展示は、藻類の育種・培養において豊富な実績をもつ株式会社ちとせ研究所の協力によって実現された。

続く第2弾では、「素材」から「もの」への循環に焦点を当て、日本独自のものづくり文化を伝えるファクトリーエリアが登場した。ナビゲーターは、日本を代表するキャラクター・ドラえもん。子どもから大人まで幅広い世代に親しまれる存在が、未来へ受け継がれる持続可能なものづくりの世界を案内する。

ファクトリーエリアでは、日本が長い歴史の中で育んできた「やわらかく作る」ものづくりの精神を、伝統と最先端技術の両面から紹介。特徴的なのは、強くて壊れないものを作るのではなく、「あえて壊すことで守る」という、日本ならではの発想だ。

たとえば、京都府の木津川に架かる「流れ橋」(上津屋橋)は、川が増水すると橋桁が意図的に流される構造になっており、橋全体の損傷を防いでいる。同じ発想は、JAXAの小型月着陸実証機SLIMにも応用されている。着陸時に脚部が壊れることで衝撃を吸収し、安全な着陸を可能にしているのだ。

こうした設計思想は、1300年以上にわたって続く伊勢神宮の式年遷宮にも通じる。20年ごとに神殿を建て替えるこの行事には、「常若(とこわか)」という、作り直すことで永続性を保つ日本独自の思想が息づいている。技術の継承と文化の維持を両立するこの考え方は、現代のものづくりやリペア文化にも受け継がれている。

ファクトリーエリアでは、藻類を活用した循環型のものづくりも紹介されている。日本発の「MATSURIプロジェクト」が主導し、藻類を原料とした化粧品や衣類、食品などが展示されているほか、藻類を混ぜ込んだバイオプラスチックを3Dプリンターで成形し、スツールを製作するデモンストレーションも実施。完成したスツールは、日本館内の憩いの場として設置される予定である。

第3弾では、「ごみ」から「水」への循環をテーマにしたプラントエリアが公開される。ここでは、世界中で人気のクマ型フィギュア「BE@RBRICK(ベアブリック)」が登場し、ごみが分解されて資源へと生まれ変わるプロセスを楽しく紹介。水、CO₂、養分、電気、熱などの要素を模したベアブリックたちが、微生物の働きをビジュアルで伝える。

このエリアでは、微生物が有機物を分解し、CO₂や水、植物の養分となる物質を生成する様子を、光のインスタレーションで演出。暗闇の中に無数の光が舞い、小さな命の営みを視覚的に体験できる幻想的な空間が広がっている。

さらに、プラントエリアでは、南極で発見された世界最大級の「火星の石」も展示される。重さ約12.7キロ、幅29センチのこの隕石には、水の存在を示す粘土鉱物が含まれており、かつて火星に水が存在していたことを示す貴重な証拠とされている。来場者がミニサンプルに触れられるコーナーも設けられる予定だ。

また、JAXAの小惑星探査機「はやぶさ」「はやぶさ2」が持ち帰った、小惑星イトカワおよびリュウグウの砂も展示され、宇宙の成り立ちや生命の起源に迫る手がかりを提供する。

先端技術の紹介としては、株式会社カネカによる「水素酸化細菌」の活用事例にも注目が集まる。CO₂を原料としてプラスチックや繊維などを製造できるこの技術は、海水中でも分解されやすく、化石資源に依存しない循環型バイオものづくりとして期待されている。

また、日本館には、万博会場で発生する生ごみを回収し、微生物の力でエネルギーに変換する「バイオガスプラント」が併設されている。カナデビア株式会社の協賛により、実際のプラントを見学できるツアーも実施され、「ごみ」から「水」やエネルギーが生まれるプロセスを体感できる。

日本館の展示は、第1弾「ファームエリア」から始まり、第2弾「ファクトリーエリア」、第3弾「プラントエリア」へと展開されてきた。それぞれが、「水」「素材」「もの」「ごみ」といった循環の要素を担い、藻類や微生物、伝統文化、先端技術といった多様な視点から、いのちをつなぐ日本の「循環型ものづくり」の思想を立体的に表現している。

ハローキティ、ドラえもん、ベアブリックといった親しみのあるキャラクターたちがナビゲーターとなり、来場者を未来のものづくりの旅へと案内する。展示をただ「見る」のではなく、「知り」「感じ」「体験」できる構成は、日本が目指す持続可能な未来社会へのまなざしを示すものとなっている。

EXPO 2025 大阪・関西万博開催概要

日時:2025年4月13日(日) – 10月13日(月)
会場:大阪 夢洲

<日本館ファームエリア協賛企業>
株式会社サンリオ/株式会社ちとせ研究所(ちとせグループ)

<日本館ファクトリーエリア展示協力企業・団体>
京都府/国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)/神宮司庁/株式会社タカラトミー/東武タワースカイツリー株式会社・株式会社日建設計/東レ株式会社/ナガセケムテックス株式会社/株式会社モルテン

<日本館ファクトリーエリア協賛企業・団体>
慶應義塾大学COI-NEXT(共生アップサイクル)、金沢大学COI-NEXT(多糖類バイオプラ循環)、エス.ラボ株式会社、株式会社DigitalArchi、株式会社放電精密加工研究所・共創プロジェクト
・代表構成員:株式会社DigitalArchi
・代表構成員 本店所在地: 〒248-0007 神奈川県鎌倉市大町1-1-14
・代表構成員 代表取締役社長:松岡 康友

MATSURIプロジェクト
・代表構成員:株式会社ちとせ研究所
・代表構成員 主要拠点:神奈川県川崎市高津区坂戸 3-2-1 かながわサイエンスパーク(KSP)R&D 棟 C432
・代表構成員 代表取締役社長:藤田 朋宏

<日本館プラントエリア協賛企業>
株式会社メディコム・トイ

<日本館プラントエリア展示協力企業・団体>
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE -ナイト-)、積水化学工業株式会社

<日本館プラントエリア展示協力企業・団体>
国立極地研究所、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)

<日本館プラントエリア展示協力企業・団体>
株式会社カネカ

<日本館プラントエリア協賛企業>
カナデビア株式会社

大阪・関西万博 日本館公式サイト「月刊日本館」

【X】日本館|Expo2025 大阪・関西万博(日本語)@japanpavilion_j

【Instagram】 日本館|Expo2025 大阪・関西万博(expo2025_japanpavilion)

【Facebook】 日本館|Expo2025 大阪・関西万博

▼関連記事はこちら

2025大阪・関西万博、日本の美意識と循環を体現するユニフォーム


News新着記事