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着物アップサイクルで社会変革を目指す、広島発エシカルブランド「Re:ADY B」

広島市に拠点を置く株式会社瀬戸内ミライデザインが、着物や帯などの日本の伝統素材を再活用したエシカルファッションブランド「Re:ADY B(レディビー)」を立ち上げた。同ブランドは、アップサイクルを軸に、障がいのある方の就労支援、環境問題への対応、日本文化の継承、そして女性の多様な働き方の実現という4つの社会課題に同時に取り組む。

日本中の家庭には、着物や帯が約40兆円規模で眠っているとされる。「Re:ADY B」では、そういった廃棄寸前の生地をアップサイクルし、唯一無二のファッションアイテムへと生まれ変わらせる。伝統と革新が交差するアイテムは、どれも世界に一つだけの特別な一品だ。

第1弾としてリリースされたのは、「8-way clutch bag」だ。柄の異なる帯を両面に使ったバッグは、その名の通り8通りの使い方が可能で、普段使いからパーティーまで幅広いシーンに対応するデザインとなっている。素材の魅力を最大限に引き出しつつ、現代のライフスタイルに馴染む工夫が凝らされたバッグは「Silicon Valley November Summit 2024」でも好評を博した。価格は、27,000円(税込)からでオンラインストアで購入が可能だ。

さらに2025年1月には、着物をアップサイクルしたセミオーダーのスーツ「KIMONO SUIT」の受注販売も開始。なかなか着る機会のない思い出の着物が、現代のビジネスシーンで着られる勝負服として蘇る。

これまで、着物の洋服化で多くみられた留袖や華やかな和柄以外の着物もアップサイクルしたいという考えから開発された上下セットアップのスーツは、男性用着物や地味な柄ほど上品に映えるのが特徴だ。価格は、セットアップが148,500円(税込)から。素材提供による割引もある。

また、ウエスト部分にアジャスターが付いたバイカラースカートは、着物の柄や色、素材に合わせた差し色となる生地、ウエスト紐のカラーが印象的なセミオーダー商品だ。セミオーダー価格は、77,000円(税込)から。製作には約1ヶ月〜2ヶ月の期間を要する。

2025年3月には、KIMONO JACKETのオーダーも開始した。KIMONO JACKETは、黒留袖など2枚の着物から制作される。オーダー料金は、 143,000円(税込)から。

製作工程の一部は、就労継続支援B型事業所「だんでらいおん」と連携しており、障がいのある方に成果に応じた報酬を支払うことでスキルの習得と経済的自立を支援する。これまで課題とされてきた低工賃問題にも、具体的な解決策を提示している点が評価されている。

「Re:ADY B」のもう一つの特徴は、ブランドを運営するメンバー全員が子育て中の女性であるということだ。多様なライフスタイルに合わせた柔軟な働き方を取り入れ、結婚や出産などのライフイベントによってキャリアを諦めない社会の実現を目指している。

代表取締役でありデザイナーでもある野田夏梨氏は、「本来、誰もがやりがいを持って働く権利がある。私たちは、社会課題の解決と美しいものづくりを両立させたい」と語る。シリコンバレーでの展示会では、国籍や背景を問わず多くの共感を集め、手応えを得たという。

今後「Re:ADY B」では、在庫の着物を用いた既製品の展開や、メンズ向けアイテムの開発も視野に入れている。さらに、全国の企業・団体との連携を強化し、瀬戸内ミライデザインがプロジェクトのハブとなることで、日本発のサステナブルファッションを世界へ広げていく方針だ。

ただものを売るだけでなく、「誰が、どうつくったか」までを重視する時代。「Re:ADY B」は、素材、作り手、使い手、すべての縁を未来へとつなぐ、新たなブランドの在り方を提示している。

Re:ADY B 公式サイト

Re:ADY B(レディ ビー)Instagram


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