
2025年6月、石川県の老舗陶磁器メーカー・ニッコー株式会社と、化学素材メーカーの小松マテーレ株式会社は、紙コップの形状をモチーフにした磁器製カップと、高機能ファブリック製スリーブを組み合わせたテーブルウェア「like a Paper Cup(ライク・ア・ペーパー・カップ)」を発表した。

同商品は、「使い捨てが前提」となっている紙コップ文化に対して、「繰り返し使う」ことの価値を再提示するサステナブルな共創プロダクト。石川県の異分野の技術と素材が融合している。

磁器カップには、ニッコーが長年培ってきたファインボーンチャイナを採用。軽さと強度、透き通るような白さ、なめらかな口当たりが特徴で、見た目は紙コップながら、手に取ればその上質さが際立つ。デザインは、金沢駅の「鼓門(つづみもん)」や茶屋建築の「出格子(でごうし)」をモチーフに、金線あり/なしの全4種展開となっている。



一方、スリーブには小松マテーレが開発した高機能素材「KONBU®」を使用。綿キャンバスのようなナチュラルな質感と見た目の重厚感がありながら、驚くほど軽く自立性のある素材で、手にした際の快適さを追求している。
さらに、染色には、廃棄されるタマネギの皮など植物由来成分を活用した環境配慮型の染色技術「Onibegie®(オニベジ)」を採用。縫製段階では、素材のロスや縫い代を最小限に抑える省資源型の加工法が用いられており、細部までサステナビリティを貫いた設計となっている。カラーは、ライトグレー、オニオン、オリーブ、インディゴの4色展開。ユニセックスなデザインが特徴だ。


このプロダクトが特筆すべきは、異業種でありながら同じ石川県に拠点を構える両企業が、「地元の技術を生かして環境負荷の少ないものづくりを実現したい」という共通の思いを出発点に連携して誕生した点だ。ニッコーでは製造時に生じる規格外品を再資源化し、リン酸三カルシウムを主成分としたリサイクル肥料「BONEARTH®(ボナース)」として再利用する循環型ものづくりを推進しており、小松マテーレもまた、素材開発から縫製に至るまで環境配慮を徹底してきた歴史を持つ。

「like a Paper Cup」は、手に馴染む使いやすさと高い機能性を備えながら、ギフトにも適したシンプルでユニバーサルなデザインに仕上がっている。贈り物としてはもちろん、オフィスや自宅のカップとしても長く使えるアイテムであり、「使い捨て」ではなく「使い続ける」日用品として日々の暮らしに寄り添う。


販売は、石川県内の店舗と東京都南青山のショールームに加え、ニッコーと小松マテーレの公式オンラインストアでも展開中。価格は3,410円(税込)から11,550円(税込)。スリーブ単体も1,485円(税込)で購入可能だ。
石川に根ざす技術と想いが結実した「like a Paper Cup」は、異業種の知見を融合し、使い捨て文化に問いを投げかける。モノを長く使い続けるための、新たな選択肢になるだろう。
石川の歴史が生んだ技術力と素材で、もう紙コップを捨てないlike a Paper Cup – ニッコー公式オンラインショップ
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