URLをコピーしました。

裁断くずから新たな価値を生む、完全循環型プロジェクト「UpcycleLino™」の挑戦

環境問題が叫ばれる中、アパレル業界もまた深刻な課題を抱えている。その一つが、洋服製造時に発生する「裁断くず」という廃棄物だ。ファッションブランド「nest Robe(ネストローブ) / CONFECT(コンフェクト)」が取り組む「UpcycleLino™(アップサイクルリノ)」プロジェクトは、この問題に対する挑戦だ。

洋服は生地を型紙に沿って裁断し、縫製して作られる。この裁断過程でどうしても余る生地片が、裁断くずだ。一着ではわずかな量だが、大量生産が進むとその廃棄量は膨大になる。従来は焼却処分や埋め立てが一般的で、環境に大きな負荷を与えていた。

「nest Robe / CONFECT」が立ち上げた「UpcycleLino™」プロジェクトは、この裁断くずを粉砕して綿に戻し、新たに糸を紡ぎ、生地を再生産するという画期的な試みだ。こうして作られた生地で再び洋服を製造し、さらにその過程で生じる裁断くずも再利用するという、循環型のものづくりを実現している。

同プロジェクトで作られる洋服は、天然素材を基本とし、環境負荷を抑えつつ上質な着心地とデザイン性を両立している。例えば、リネンやコットンといった自然素材を採用し、国内自社工場で丁寧に生産されている点も特徴的だ。さらに、店舗内装や製造過程においても環境配慮を徹底しており、太陽光発電の導入など持続可能性を意識した取り組みが進められている。

また、糸に再生できない色のついた裁断くずは、ハンガーとして生まれ変わる。色のついた裁断くずは粉砕機にかけられ、繊維状になるまで細かく粉砕されていく。粉砕された繊維はフェンツと呼ばれるフェルト状のボードに加工される。このフェンツから型抜きされ、ハンガーの形に成形されるのだ。そして、バインダー(固着剤)と熱によって圧縮・硬化させることで、プロダクトとして十分な強度を持つハンガーが完成する。

特筆すべきは、その素材が天然繊維である点だ。「UpcycleLino™」のハンガーは、最終的に生分解され、土へと還る。つまり、役目を終えた後も環境に負荷をかけることなく、自然に循環する仕組みが生まれている。

「UpcycleLino™」は、応援購入サービス「Makuake」でプロジェクトを発表。多くの支援を集め、目標金額を達成した。これは、環境問題に関心を持つ人々が増えていることの表れだと言える。

また、「KIGI」や「WIFE&HUSBAND」などさまざまなジャンルとのコラボレーションにも積極的だ。現在は、花屋「OEUVRE(ウヴル)」とのコラボレーションも実現。裁断くずから生まれた生地を使い、超撥水加工が施されたワンピースやサスペンダーパンツなど、機能性と美しさを兼ね備えた新商品を展開している。これらの商品は、渋谷店やオンラインショップで限定販売されている。

UpcycleLino(アップサイクルリノ)オフィシャルサイト

Instagram(@upcyclelino_jp)


News新着記事