2024年12月12日（木）、東京大学本郷キャンパス内で開催された「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2024」の授賞式において、株式会社TOOLBOXが手掛けた「『ReMAKE』 -既存の内装を活かす試み-」が総合グランプリに選ばれた。
このコンテストは、一般社団法人リノベーション協議会が主催するもので、施工費ごとに4つの部門に分けられた全国226件の応募作品が審査対象となった。選考はSNSでの一般投票を含む一次審査を経て66作品がノミネートされ、最終的には住宅系メディア編集者やデザイナーなど8名の選考委員による評価で、グランプリと部門別最優秀賞が決定した。
グランプリに輝いた「『ReMAKE』 -既存の内装を活かす試み-」は、既存の内装や設備を極力活用し、廃棄物の削減を目指すサステナブルなプロジェクトだ。解体された材の再利用や再加工を通じて新たな空間を創り出すアプローチが、サーキュラーエコノミーの理念に適合した点が高く評価された。
例えば、I型キッチンを切断し左官でつなぐことでL型キッチンに再生するなど、職人の高い技術と創意工夫が光る作品である。選考委員長であるLIFULL HOME’S総研の島原万丈氏は「廃棄物を最小化し、既存の資材を最大限に活用する挑戦的なプロジェクトであり、共感を呼ぶコンセプトが実現された」と述べた。
また、部門別最優秀作品賞を受賞したプロジェクトは以下の通りである。
800万円未満部門では、株式会社N’s Createの「翳りの間」が受賞。床や壁の素材の切り替えを用いたゾーニングにより、空間にもう一つの部屋を作り出した点やデザイン性とコストのバランスが見事なことが評価された。
1500万円未満部門では、株式会社grooveagentの「感性を解き放つ、45°の秩序」が受賞した。部屋に大胆に引かれた45度のラインが新たな空間の可能性を生み出し、都心の限られた空間を有効活用するアイデアが光った。
1500万円以上部門では、リノクラフト株式会社の「saṁtati(サンタティ)―他人間相続―」が受賞。売主と買主の思いをつなぐリノベーションであり、内装を残しつつ耐震性や省エネ性能を高めたプロジェクトである点が評価された。
また、無差別級部門ではJapan.asset management株式会社の「soil and soul(Jam+tamtam)」が選ばれた。9世代にわたる利用を想定した循環型の建物設計が特徴的で、自然共生型のデザインが評価された。
今年は特別賞も多岐にわたるプロジェクトが選出され、地域文化や持続可能性への取り組みが注目された。「わくわく空間創造リノベーション賞」には、株式会社i-Plainによる「7帖に作る3つの秘密基地」が選ばれ、「アンティークドリブン・リノベーション賞」には、株式会社サンリフォームによる「遊郭建具と暮らす」が選ばれた・
これらの作品は、リノベーションがただの空間再生ではなく、住まい手の個性や地域の物語を織り込むものであることを示している。
選考委員長の島原万丈氏は、今年の応募作品は、不動産価格や建築コストの高騰に対応する創意工夫が際立っていたと総評した。また、中古住宅市場やリノベーション業界全体がデザインと機能性を両立させた新たなステージに進化していることを強調した。
