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リメイクで地域を変える、北海道上川町とTSIホールディングスの挑戦

大雪山国立公園を擁する北海道上川町で、持続可能な未来を見据えたユニークな取り組みが進められている。2024年12月7日、「KAMIKAWA MIRAI FES」が同町で開催され、アパレル企業のTSIホールディングスと地域が連携して2050年を見据えた新しいまちづくりの可能性を示した。

イベントは、地域住民や学生、企業のリーダーたちが一堂に会し、世代を超えた対話が生まれる場となった。第1部では上川高校の学生たちが「未来(2050年)の人々の暮らし方や働き方、遊び方」について発表。これを基に、参加者全員でディスカッションが行われた。第2部では「NO LIMITS~これからの明るい未来を創っていく~」をテーマにしたトークセッション、第3部では「未来を創る上川町学園構想」に関する講演が実施され、参加者にとって刺激的な内容が展開された。

特に注目を集めたのは、TSIグループの修理お直し工房「ReSew」による古着リメイクワークショップだ。地域住民が持参したカットソーやシャツ、スウェットを用いて、それぞれが自由にペイントを施し、新たなデザインの服へと生まれ変わらせた。この取り組みは、「服を捨てない」というサステナブルな意識を地域に広げる大きな一歩となった。

また、TSIグループによる「TSIフリマ」も開催され、傷や汚れにより通常の販売基準を満たさないアイテムを販売。その売上は、地域の教育事業に還元されるという仕組みが、多くの参加者の共感を呼んだ。

イベントでは他にも、多彩なプログラムが展開された。参加者は、地元の森の物語を聞きながらクリスマスオーナメントを作るワークショップや、下地毅社長が自ら製作に参加した「未来の上川駅前」のジオラマ模型作りに挑戦した。また、会場内に併設されたバーでは、地元の日本酒やジンが振る舞われ、訪れた約200名以上の町民が温かい交流を楽しんだ。

TSIホールディングスと上川町は、2021年10月に包括連携協定を締結して以来、継続的に新しい取り組みを展開している。たとえば、2023年には北海道大学と連携し、生物多様性調査アプリ「バイオーム」を活用した自然調査プロジェクトを支援。2024年には空き家問題の解決を目指す「空き家リノベーション事業」を通じた「サステナツーリズムタウン事業」の推進が進められている。また、親の服をリメイクして子供服に再生するプロジェクトや、廃棄予定のランドセルを小物にアップサイクルする取り組みも行われている。こうした試みは、地域全体で「モノを大切に使い続ける」意識を再確認する機会となっている。

イベント当日は、上川高校の学生たちによる2050年の暮らしについてのプレゼンテーションも行われた。若い世代が描く未来像と、それを実現するための具体的なアクションプランが示され、世代を超えた対話が生まれた。

TSIホールディングスの下地毅社長は「当社はファッションエンターテインメント企業としてアパレル事業だけでなく、人々のライフスタイルを彩るコンテンツの開発も展開しています。とくに地域社会への貢献と持続可能性への取り組みを重要視しており、今回このような素晴らしいイベントに関われることを誇りに思います。地元コミュニティと共に未来志向で活動することで、より良い社会づくりに貢献できることを願っています」と語る。この言葉には、持続可能な社会の実現には、企業と地域の垣根を超えた協力が不可欠だという認識が込められている。

人口5,000人以下の自治体である上川町は、日本の地方自治体における持続可能なまちづくりのモデルケースとなりつつある。大雪山国立公園や石狩川などの豊かな自然環境を活かし、観光や環境保護、企業との連携を通じた新しい地域づくりを推進している。今回のイベントを通じて見えたのは、地域と企業が連携することで、持続可能な未来に向けた大きな一歩を踏み出せるという希望だ。これからも上川町とTSIホールディングスは、共創を通じて未来を切り拓いていくことを目指している。


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