不要プラスチックを価値ある素材へ、「Parallel Plastics」が描く循環型ものづくり
Hamee株式会社が2023年5月に立ち上げた「Parallel Plastics(パラレルプラスティックス)」は、従来のリサイクル概念を根本から覆す、画期的なサービスだ。同サービスは、不要なプラスチック製品を100%リサイクルプラスチックを用いたプロダクトに生まれ変わらせる取り組みだ。
「Parallel Plastics」は、製造過程で発生する端材や売れ残り製品など、行き場を失ったプラスチックを素材として利用する。従来のリサイクル手法では、分別や洗浄、ペレット化の工程を経てバージンプラスチックを加える必要があったが、同サービスではこれらのプロセスを省き、バージンプラスチックを一切使用しない。
この手法により、コストとエネルギーを大幅に削減するとともに、リサイクルプラスチック特有の自然な色合いや質感を活かした製品づくりを実現。
ストーンリングやタグプレートは、まるで天然石のような独特の美しさを持つ製品として人気を集めている。
さらに、同社は「Parallel Plastics」を補完する形で、再生プラスチック材の取引プラットフォーム「再生プラスチック取引所」も運営。同サービスでは、企業間でリサイクルプラスチックの売買が可能だ。製造工程で発生した端材や倉庫に眠る余剰プラスチック製品を簡単に出品でき、購入企業は希望する材質や色の再生プラスチックを必要な量だけ手に入れられる。
特筆すべきは、取引所が長崎県対馬市の海洋プラスチックごみをリサイクルし「Re:Ocean@TSUSHIMA」の取り扱いを開始した点だ。対馬市には年間約8,000立方メートルもの海洋ごみが漂着しており、これを株式会社セイコーインターナショナルがリペレット加工することで再生プラスチック材として活用している。この取り組みは、地域環境の保全とリサイクル材の有効活用を同時に実現するものだ。
同社は地域と連携しながら、海洋ごみ削減とリサイクルプラスチックの有効活用を推進している。これにより、国内外の企業が環境負荷を低減しつつ、独自の価値を持つ製品を生み出すことが期待される。
同社の挑戦は、単なるリサイクル事業にとどまらない。廃棄物を資源として再発見し、それを新たな価値を持つプロダクトへと昇華させることで、持続可能な未来を目指している。これにより、廃棄プラスチックという課題を解決しつつ、製品の循環利用の新たなモデルを示している。