日本の技術で再生した素材を纏う、皆川明氏監修IDÉE「H& by POOL」のアップサイクルコレクション
株式会社良品計画が展開するIDÉEは、日本のものづくりの技術と創造性を活かした特別なコレクション「H& by POOL(ハンドバイプール)」の2025年春夏ラインを3月13日(木)より全店舗とオンラインショップで発売を開始した。同コレクションは、minä perhonenデザイナーの皆川明氏監修のもと、生産現場で行き場を失った残反や残糸、端切れなどを活用した衣服を通じて、サステナブルな価値創造を提案する。

IDÉEは2015年から、ものづくりの過程で発生するハギレや端材などを活用し、新たな価値ある製品を生み出す「POOL」プロジェクトに取り組んできた。無印良品のベッドリネン製造過程で生まれるハギレを用いたハンカチやポーチ、靴下工場の残糸から作られたソックスなど、洋服から雑貨まで多様な商品開発を展開している。
「POOL」の活動を通じて見えてきたのは、日本各地の生産現場に少量ながらも質の高い素材が残されている現実だった。製造数量の都合や微妙な色の違い、予期せぬオーダーキャンセルなど、様々な理由で行き場を失った素材たち。それらの価値と、それを生み出す作り手の技術の高さをより多くの人に伝えたいという思いから、2021年秋に「H& by POOL」が誕生した。
同プロジェクトは、単なる環境配慮型の取り組みを超え、生産者、生活者、そして社会全体の幸福を目指す試みとして展開されている。


今季の「H& by POOL」コレクションは、日常のワードローブに溶け込みながらも特別感のあるアイテムが揃う。首から肩にかけてのギャザーが美しい新型ワンピースは、フォーマルな場面にも対応する上品さを備えている。また、大きくタックが入ったデザインが印象的な新型ジャンパードレスは、ゆったりとしたシルエットでレイヤードを楽しめる一着だ。価格はそれぞれ、税込44,900円だ。


毎シーズン好評を博しているニットシリーズには、山形県の老舗紡績・ニットメーカーで行き場をなくした糸を使用した新作が加わった。透け感のある編みで仕立てたコットンニットシャツは、ポロカラーとほのかな透け感が洗練された印象を与える。また、ワイドシルエットのコットンプルオーバーニットは、ドレッシーながらも包み込むようなサイズ感で、多様な着こなしが可能だ。


5月2日(金)には、播州織の産地で行き場をなくした生地を使用したワイドパンツや、小ぶりな丸襟が可憐な印象のフレンチスリーブワンピースなども発売予定だ。
「美意識のある暮らし」をコンセプトに展開するIDÉEは、国内外のデザイナーとのオリジナル家具、セレクトしたテキスタイルやプロダクト、グリーン、音楽、書籍など幅広い提案を行っている。さらに「Life in Art(日常芸術)」を掲げ、有名無名や時代性を問わず共感するアーティストや作家の作品、造形や経年美を持つヴィンテージデザイン、手仕事を感じるクラフト、遊び心溢れるアップサイクルまで、多様な価値観で美意識ある暮らしを育む「もの」や「こと」を提案している。
「H& by POOL」は、そんなIDÉEの哲学を体現したプロジェクトといえるだろう。素材の再生という環境的視点と、日本のものづくりへの敬意、そして美的感覚の融合は、これからの時代に求められる価値創造の形を示している。
残反や残糸を使用した限定生産のため、商品は数に限りがあり、なくなり次第販売終了となる。持続可能な消費と生産に関心を持つ人々にとって、見逃せないコレクションとなるだろう。