老舗ひもメーカーが紡ぐ、廃材アップサイクルの新たな花「Himo-Corsage」
創業73年のひも製品メーカー、森製紐株式会社は、自社製造過程で発生する廃材を活用した手作りコサージュ「Himo-Corsage(ヒモコサージュ)」を4月22日(火)のアースデイに合わせて発売した。アートフラワー作家・井植理衣氏と共同開発したコサージュは、製造過程で廃棄予定だったゴム入り織物や細巾織物などが素材に使われており、すべて一点ものとして展開されている。

今回の取り組みのきっかけは、2024年夏、同社がPR活動の一環で井植氏と出会ったことだった。「もったいない」と感じていた廃材について相談したところ、井植氏がその素材に着目し、独自の技術と200年以上続くフランス伝統のアートフラワー技法を融合させてコサージュに仕立て上げた。ゴム素材の伸縮性や厚みといった、従来フラワー作品に向かないとされていた素材を巧みに活かしたこの作品群は、廃材の概念を覆す美しさを持っている。


国内では毎年約170万トンもの繊維製品が廃棄される一方、再活用されるのはわずか34%にとどまるとされている。同社は、こうした社会問題に対して「循環する社会に貢献するために何かできないか」という思いから今回のプロジェクトを立ち上げた。



製品は現在、同社の公式オンラインショップ「モリスリーストア」にて販売中だ。初回は5点のみの限定販売で、素材には岡山県産の細巾織物や石川県産のゴム生地が用いられている。シックな白黒の配色から、ストライプや格子柄を活かしたデザインまで、どれも上品さがあり、フォーマルな場面から日常の装いのアクセントまで幅広く活用できる。それぞれの大きさは6〜8cmほどで、色合いや重ね方によって異なる表情を見せる。価格は11,000円(税込)から12,100円(税込)。


「このコサージュが、長い歴史ある日本の“紐文化”に触れるきっかけになれば」と語る井植理衣氏は、産後の辛い時期に花の力に救われた経験を持つアートフラワー作家。花を通して「生まれてきてくれて、ありがとう」という感謝の気持ちを届けたいと、オーダーメイドギフトやコサージュ制作に取り組んでいる。



「Himo-Corsage」は入学式や卒業式、結婚式などのフォーマルな場だけでなく、日常でも使用できる。また、髪飾りやハットのワンポイントとしても活用できるため、さまざまなシーンで楽しむことが可能だ。
長年、ひも一筋で事業を営んできた森製紐株式会社は、「1本の紐で繋がり続ける人と社会を」という理念のもと、今後も社会とつながるアイデア商品を提案していく構えだ。