飲み終えたコーヒー袋が堆肥に。「asueco」が描く循環のかたち
飲み終えたコーヒーの袋が、畑で役立つ堆肥になる。ナカバヤシ株式会社が開発した生分解性コーヒー袋「asueco(アスエコ)」は、製造から使用後の回収・活用までを見据えた設計が特徴だ。現在は、にんにくの栽培に活かす取り組みが進められており、廃棄物を循環させる仕組みとして注目されている。

同社が展開するブランド「asue(アスエ)」では、環境に配慮した製品づくりを推進。その一例が、コーヒー豆の美味しさを保ちつつ、使用後は土に還ることを前提に設計された「asueco」だ。ガスコントロール技術「TiMELESS®(タイムレス)」、酸素や水蒸気、香気の透過を抑えるバリア紙「SILBIO BARRIER(シルビオバリア)」、植物由来の生分解性樹脂「BioPBS™(バイオPBS)」を組み合わせることで、アルミやプラスチックバルブを使用せずに高い品質保持を実現している。

こうした設計思想のもと、「asueco」は実際の農業現場でも活用され始めている。同社が保有する兵庫県のにんにく圃場では、分解された「asueco」とコーヒーかすを混ぜた堆肥による実証実験が行われ、2024年6月には実際ににんにくの収穫が確認された。この堆肥で育てた野菜をカフェなどに届ける構想も進められている。

農業利用と並行して、使用済み「asueco」の回収体制の整備も進められている。同社では、導入店舗への商品配送ルートを活用した効率的な回収方法を検討しており、輸送時のCO2排出削減にも配慮している。

「asueco」は、使い終えたあとの袋にまで目を向けた、生分解性コーヒーパッケージ。製造から使用、回収、堆肥化、農業利用までをひとつの流れでつなぐことで、日常生活の中に資源循環の仕組みを取り入れている。今後も、堆肥で育てた作物の提供などを通じて、持続可能な循環型社会の実現に貢献する取り組みとして、さらなる展開が期待されている。