町全体が「ホテル」になる。駅舎と古民家を活かす奥多摩の挑戦
かつての駅舎や古民家を再利用し、町全体を宿泊空間として構成することで、観光と暮らしが交わる、地域資源の循環利用が進められている。
東京都・奥多摩町で展開されている「沿線まるごとホテル」プロジェクトは、町全体を宿泊空間とする構想のもとに始まった取り組みである。2024年にはレストランと薪サウナが先行して開業し、2025年5月25日には宿泊棟「Satologue(サトログ)」が完成。ついにグランドオープンを迎えた。
本プロジェクトは、JR東日本と地域活性を手がける株式会社さとゆめが共同出資して設立した事業会社によって実現したものである。宿泊棟のオープンにあわせて、お得な開業記念特別プランも用意されている。

奥多摩という、自然と暮らしが交差する土地に根ざして展開される「沿線まるごとホテル」は、新たな滞在型観光やマイクロツーリズムの創出を目指す地域活性化プロジェクトだ。
その宿泊施設として中核を担うのが「Satologue」だ。駅舎や古民家といった既存の建物を再生・活用し、町全体を一つの宿泊空間とする構想がここで実現されている。


チェックインはJR青梅線の鳩ノ巣駅で行われる。駅舎内に設けられたレセプションでは、地元スタッフが宿泊者を迎え入れ、旅のはじまりを支えるローカルホスピタリティの場として機能している。
その際に配布される「沿線まるごとパスポート」には、地域の物語や関わる人びとの想いが綴られており、町の背景を知る手がかりとなる。この冊子の巻末には、地域の各店舗やアクティビティで利用できるクーポンも付属しており、特典付きのサービスを受けられる仕組みとなっている。

「Satologue」の全体設計を手がけたのは、瀬戸内海の移動型ホテル「guntû」などで知られる建築家・堀部安嗣氏。設計には、「すでにそこに存在している宝物のような価値あるものに気づき、それに囲まれているということを、訪れるゲストに感じてもらいたい」という思いが込められている。
その思想を反映したツインルームは、繭を思わせる白いボールト天井が特徴的で、全4室には庭やテラス、対岸の緑を望む浴室が備えられている。



レストランでは、地元農家による農産物や奥多摩の作り手による食材を取り入れた「沿線ガストロノミー」を提供。地域の風土や暮らしを、フレンチの技法を活かして料理として表現している。
料理とともに楽しめるのは、地元・奥多摩で造られた日本酒やクラフトビールといった地域産の飲み物だ。小澤酒造の「澤乃井」や、奥多摩の人気ブルワリー・VERTEREによるクラフトビール「Desert」など、土地の個性を味わう体験が用意されている。シェフ特製のノンアルコールドリンクも充実しており、、幅広い嗜好に対応している。

また、「Satologue」のフィールド内では、薪割りや畑での野菜の収穫、生き物観察など、奥多摩の自然を体感できる季節ごとのアクティビティも用意されている。

沿線まるごとホテルプロジェクトは、駅舎や古民家など地域に残る資源を循環的に活用しながら、宿泊を通じた地域体験を提供するプロジェクトだ。文化や自然を伝える体験を通じて、地域の魅力を継承し発信する仕組みとしても注目される。
◼︎開業記念特別プラン
・宿泊期間:2025年5月25日(日)~2025年8月31日(日)
・料金:ツイン 1名様 49,500円(税込)~
・予約方法:右記URLにて受付 https://satologue.com/
※1室2名利用時/夕朝食・サウナ付き
※料金は日にちによって変動。
※定員に達し次第、本プランは終了。
沿線まるごとホテル
株式会社さとゆめ | Local Business Incubator ~人を起点として、地域に事業を生み出す会社~
JR東日本:東日本旅客鉄道株式会社