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木製パレットの“かたち”を再定義、日本初の円形パレット什器「w/P」

物流の裏方として静かに存在してきた木製パレットが、いま、新たなかたちで人々の暮らしとつながろうとしている。兵庫県宍粟市に本社を構える株式会社マツイ工業は、国産杉材を用いた木製什器用パレットブランド「w/P(ウィズ・パ)」を、2025年6月10日(火)にリリースした。なかでも注目すべきは、日本初の円形木製パレットを含む、多角形や半円型など、これまでのパレットのイメージを覆すラインナップである。

「w/P」の開発背景には、木製パレットの存在が社会から見えづらいという課題があった。創業から半世紀以上、宍粟の森と共に歩んできた同社は、これまで「運ぶ」ことを目的としてきたパレットの役割に、「伝える」という新たな視点を加えた。空間什器として生まれ変わったパレットには、使い手の想いや地域の素材の背景、そして作り手のまなざしが刻まれている。

什器としてのパレットは、オフィスやカフェ、展示会やポップアップストアなど、多様な空間で活用が想定されている。木の質感を活かした温かみのある佇まいと、スタッキングによる可変性、搬入のしやすさや短納期といった実用面での利点もあわせ持ち、従来の造作什器にはない自由度を備えている。

素材には宍粟産の杉材が使用されており、製造工程で生じる端材や副産物も余すところなく活用されている。このような資源循環の思想は、木を知り、木に向き合ってきた同社ならではのアプローチだ。パレットとしての基本構造を踏襲しつつも、半円や三角、六角といったバリエーション豊かなフォルムによって、空間に動きや余白を与えるプロダクトへと昇華している。

ブランド名「w/P」には、「with Pallet(パレットとともに)」という意味だけでなく、そこに乗せる想いまでも大切にしたいというメッセージが込められている。什器という役割を超えて、素材、土地、作り手、そして使い手をつなぐメディアとしての可能性が、この新しいかたちのパレットには託されている。

大量生産・大量消費の時代が過ぎ、モノの背景や物語に価値を見出す流れが広がる今、「w/P」の取り組みは、木製パレットという無名の存在に新たな光を当てる挑戦だ。物流の道具から、空間を彩る表現へ、静かながら力強い変化が、宍粟の森から広がり始めている。

w/P(ウィズ・パ)
w/P(ウィズ・パ)公式Instagram

株式会社マツイ工業


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