「祖母から譲り受けた着物があるけれど、着る機会がない」「母の大切にしていた着物を、このまま眠らせておくのはもったいない」──。
そんな方におすすめしたいのが、着物のリメイクという選択肢です。
着物は、適切にリメイクすることで、ワンピースやバッグ、小物など現代のライフスタイルに合った形に生まれ変わり、日常的に使い続けることができます。
着物の柄や色合いを活かして新しい形に生まれ変わらせることは、思いを次の世代へつなぐ大切な方法です。本記事では、全国配送対応で着物リメイクを依頼できるおすすめ事業者を10選ご紹介し、依頼時のプロセスについても詳しく解説します。
着物のリメイクを依頼する際のプロセス
着物のリメイクを検討する際には、まず着物の状態と希望するリメイク内容を明確にすることが大切です。どのような形にリメイクしたいのか、どの着物を使いたいのかを事前に整理しておくと、スムーズに相談を進めることができます。
1. 事前相談と見積もり
多くの事業者では、写真を送っての事前見積もりや、オンラインでの相談を受け付けています。着物の種類（振袖、留袖、訪問着、小紋など）、素材（正絹、木綿など）、状態（シミや傷の有無など）を詳しく伝えることで、より正確な見積もりを受けることができます。また、ワンピースやバッグ、小物など、希望するリメイクアイテムを具体的に伝えることが大切です。
2. リメイク内容の選択
着物のリメイクには、さまざまな選択肢があります。洋服にリメイクする場合は、ワンピース、コート、ジャケット、スカート、セットアップなど、用途や好みに応じて選べます。小物にリメイクする場合は、バッグ、ポーチ、日傘、ストール、アクセサリーなど、日常使いしやすいアイテムが人気です。着物の柄や色合い、生地の状態によって、最適なリメイク方法も異なるため、専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。
3. デザインと仕様の決定
リメイクアイテムが決まったら、具体的なデザインや仕様を決めていきます。セミオーダーの場合は、事業者が提案する既存のデザインから選び、サイズを調整します。フルオーダーの場合は、希望のデザインを一から相談し、着物の柄の配置や細部の仕様まで決めていきます。この段階で、仕上がりのイメージをしっかりと共有することが重要です。
4. 着物の発送と制作
依頼内容が確定したら、着物を事業者に送付します。多くの事業者では、全国配送に対応しています。着物を受け取った事業者は、丁寧にほどき、反物の状態に戻してから裁断・縫製を行います。制作期間は内容によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
5. 完成品の受け取り
リメイクが完成したら、配送で受け取ります。届いた作品を確認し、イメージ通りに仕上がっているか、サイズに問題がないかをチェックしましょう。
着物のリメイクにかかる費用や期間
着物のリメイクにかかる費用は、リメイクするアイテムや仕様、オーダー方法によって大きく異なります。小物類では、シンプルなポーチや小物であれば10,000円〜20,000円程度、ハンドバッグやショルダーバッグは20,000円〜40,000円程度が目安となります。日傘は15,000円〜30,000円程度で、日傘とバッグ、小物をセットにした商品では40,000円〜70,000円程度となることが一般的です。
洋服類へのリメイクでは、より幅広い費用設定となります。セミオーダーのワンピースは30,000円〜60,000円程度ですが、フルオーダーのワンピースになると50,000円〜120,000円程度が相場です。コートやジャケットは50,000円〜100,000円程度、セットアップでは70,000円〜150,000円程度となります。また、着物ドレスの場合は、パターンオーダーで50,000円〜150,000円程度、フルオーダーでは100,000円〜300,000円程度と、より高額になります。
これらの費用には、ほどき代や裏地代、往復送料が含まれる場合と別途必要な場合がありますので、見積もり時に確認することが大切です。また、着物の状態によってシミや傷の修復が必要な場合や、使用する生地の量、デザインの複雑さによって、費用は変動します。
制作期間については、リメイクの内容や事業者の混雑状況によって異なります。小物類であれば2週間〜1ヶ月程度で完成することが多く、シンプルな洋服では1ヶ月〜2ヶ月程度が目安となります。フルオーダーの洋服や着物ドレスなど、より複雑な制作になると2ヶ月〜4ヶ月程度の期間を要することが一般的です。
特に、結婚式やイベントなど使用日が決まっている場合は、余裕を持って依頼することをおすすめします。繁忙期は、通常よりもさらに時間がかかることもあるため、事前に納期を確認しておくと安心です。
全国配送可能な着物リメイク事業者10選
1. komomo / 京都
「komomo」は、京都・西陣で帯や着物の絵付けの仕事に携わった経験を持つ作家が、2011年にオープンした着物のリメイクショップです。仕立て業の両親のもとで縫製を学び、着物の柄や色合いを最大限に活かしたデザインを得意としています。
モモンガワンピースやフレアパンツ、ケープ袖ワンピースなど、着物の美しさを現代的なシルエットで表現した作品が特徴です。セミオーダーとフルオーダーの両方に対応しており、手持ちの思い出の着物での制作も承っています。正絹の柔らかな風合いを活かした、着心地の良い洋服作りに定評があります。
地域：京都府京都市
依頼方法：配送 / 店舗持込
2. KIMONO文珠庵 オーダーメイド着物ドレス / 大阪
「KIMONO文珠庵」は、1990年創業の着物ドレス専門店です。大阪と東京に店舗を構え、着物地を使ったウエディングドレスや留袖ドレス、パーティードレスなどのオーダーメイド制作を行っています。呉服問屋に生まれ育ったデザイナーが、着物ならではの柄や生地の特性を熟知し、女性の美しさを最大限に引き出すドレスを仕立てています。
手持ちの着物をドレスへと仕立て直すことができるほか、新品の正絹着物地を使用したドレスのレンタルや販売にも対応しています。ウエディングドレスだけでなく、ジャケットやブラウス、メンズ用のコートなど、幅広いアイテムへのリメイクも可能です。
地域：大阪府大阪市
依頼方法：配送 / 店舗持込
3. 着物リメイクのお店カナタツ商店 / 熊本
熊本県にある「カナタツ商店」は、着物リメイク専門のキャリア20年以上のスタッフが複数在籍する専門店です。「着物リメイクとは想いをカタチにする作業」と定義し、効率を追求するのではなく、一点のみの注文でも着物を必ず反物に戻してからリメイクを開始するという、丁寧な姿勢が特徴です。
日傘とハンドバッグ、小物をセットにした人気商品のほか、印鑑ケース、バッグ、洋服、インテリアなど、幅広いアイテムへのリメイクに対応。シミや傷のある着物でも、使える部分を活かして制作する技術を持っています。無料の回収キットを用意しており、日本全国からの依頼に対応しています。
地域：熊本県
依頼方法：配送
4. 着物リメイクHanamizuki / 愛知
「着物リメイクHanamizuki」は、着物の持つ伝統的な美しさを、現代のライフスタイルに取り入れることをコンセプトとする愛知県の着物リメイク工房です。着物本来の柄や色合いを大切にしながら、日常使いしやすい小物へとリメイクしています。日傘をはじめ、バッグなどの小物まで幅広いアイテムを手がけており、丁寧な仕上がりと、着物の個性を引き立てるデザイン提案に定評があります。
地域：愛知県
依頼方法：配送
5. 着物Remake_はる / 静岡
「着物Remake_はる」は、着物を現代的な洋服にリメイクすることを専門とする静岡県の工房です。特に、独特のシルエットが特徴の「モモンガコート」や、ゆったりとした着心地のワンピースなどが人気です。
着物の柄を最大限に活かしながら、着る人の体型や好みに合わせたデザインを提案。袖の形や丈の長さ、シルエットなど、細部にまでこだわった丁寧な仕立てが特徴です。手持ちの着物を使った制作に対応しており、思い出の着物を日常使いできる洋服に生まれ変わらせることができます。
地域：静岡県
依頼方法：配送
6. 着物リメイク 裕(yutaka) / 大分
「着物リメイク裕(yutaka)」は、着物の持つ日本の伝統美を大切にしながら、現代のファッションとして楽しめるリメイク作品を提案している大分県の工房です。着物の柄の配置や色の組み合わせにこだわり、一点一点手作業で丁寧に仕上げています。
ワンピース、コート、スカートなどの洋服から、バッグやストールなどの小物まで、幅広いアイテムのリメイクに対応。七五三の着物をロングジレとテディベア、額装にして残すなど、着物の種類や状態に応じて、最適なリメイク方法を提案してくれます。
地域：大分県杵築市
依頼方法：配送 / 店舗持込
▼紹介記事はこちら
【ナガクのプロたち】#06 着物リメイク 裕 矢野裕美（着物リメイク / 大分県杵築市）
7. 絹春/着物を現代のリアルクローズへリメイク / 神奈川
神奈川県にある「絹春(kinuha)」は、「着物を現代のリアルクローズへ」をコンセプトに、日常的に着られる洋服へのリメイクを得意とするデザイナーです。着物の伝統的な美しさを保ちながら、現代的なシルエットと着心地を両立させたデザインが特徴です。
シャツ、ブラウス、ワンピース、パンツなど、普段使いしやすいアイテムを中心に制作。着物の柄を効果的に配置し、洋服として着たときに最も美しく見えるようデザインされています。手持ちの着物を使ったオーダーメイドに対応しており、サイズやデザインの細かな調整も可能です。日本国内だけでなく海外配送にも対応しています。
地域：神奈川県
依頼方法：配送
絹春/着物を現代のリアルクローズへリメイクへのご相談・依頼はこちら
8. Atelier Natsuko / 神奈川
「Atelier Natsuko」は、着物リメイクを通じて、日本の伝統文化と現代的なファッションを融合させることを目指す神奈川県のアトリエです。デザイナー自身の感性を活かした、オリジナリティの高いリメイク作品が特徴です。
着物の柄や色合いだけでなく、生地の質感や風合いも大切にしながら、洋服や小物へとリメイク。一点一点、着物の個性を最大限に引き出すデザインを心がけています。フルオーダーでの制作に対応しており、イメージの共有から完成まで、丁寧にサポートしてくれます。
地域：神奈川県横須賀市
依頼方法：配送
9. 染趣庵 / 長崎
「染趣庵」は、長崎を拠点に友禅や型染などの伝統的な染色技法を用いた着物制作を行う工房です。染色技法の高い技術を活かし、着物のリメイクに対応しています。伝統的な染めの技術を継承しながら、現代のライフスタイルに合わせた着物リメイクを提案。型友禅の美しい柄を活かした洋服の制作が可能です。
着物の染めに関する専門知識を持つ職人が、生地の特性を理解したうえで丁寧に仕立てています。体験教室も開催しており、着物文化の継承にも力を入れる工房です。
地域：長崎県西彼杵郡
依頼方法：店舗持込 / 配送
染趣庵(せんしゅあん) (@senshuan2018) Instagram
10. 和リメイクショップ「Ne」/ 北海道
和リメイクショップ「Ne」は、着物や帯を使った和テイストのリメイク作品を制作する北海道札幌市のショップです。バッグ、ポーチ、ストール、アクセサリーなど、日常使いしやすい小物を中心に制作。
着物や帯の柄を活かしながら、モダンなデザインに仕上げることを得意としています。手持ちの着物や帯を使ったオーダーメイドに対応しており、思い出の生地を新しい形で楽しむことができます。
地域：北海道札幌市
依頼方法：配送 / 店舗持込（要確認）
和リメイクショップ「Ne」 (@wa_remakeshop_ne) Instagram
自分に合った事業者を選び、思い出の着物を新たな形で
着物のリメイクは、単なる作り替えではなく、受け継いだ思いや記憶を現代のライフスタイルに合った形で使い続けるための大切な方法です。タンスに眠っている着物を、日常的に使える洋服や小物に生まれ変わらせることで、その美しさを再び楽しむことができます。
全国配送に対応している事業者であれば、遠方に住んでいても気軽に依頼が可能です。それぞれの事業者によって得意とするアイテムやデザインの傾向が異なるため、公式サイトを確認したり、InstagramなどのSNSで作品を見て、自分の好みに合う工房を見つけてみましょう。
まずは事前相談から始めて、着物の状態やリメイクの希望を伝えてみてください。専門家のアドバイスを受けながら、思い出の着物を新しい形で楽しむことができるはずです。
着物が持つ伝統的な美しさを、現代の暮らしの中で輝かせてみましょう。
