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オフィスの古紙が花になる、「古紙から花へ」プロジェクトが生み出す循環のかたち

神奈川県鎌倉市を拠点とする有限会社スープが手がける「古紙から花へ」プロジェクトが、開始から1年を迎え、750kgの古紙を再生紙に生まれ変わらせた。これは約50万枚の名刺に相当し、すでに20社以上の企業や自治体が同プロジェクトに参加している。

同プロジェクトは、オフィスで廃棄される古紙を回収し、花の種を漉き込んだ100%再生紙「花咲く和紙」へとアップサイクルする取り組みである。

回収された古紙はシュレッダーで細かく裁断され、再生パルプとして新たな紙に生まれ変わる。このプロセスを通じて、紙資源の循環を実現し、環境負荷の軽減に貢献している。さらに、使用後は土に埋めることで草花が芽吹き、都市部の緑化にもつながる仕組みだ。

2022年に誕生した国産シードペーパー「花咲く和紙」は、山梨県身延町の伝統工房で手漉きされ、長野県の福祉作業所や神奈川県の特例子会社で印刷・加工が行われている。400年の歴史を持つ和紙工房と福祉作業所が協力し、一枚一枚を手作業で仕上げることで、質の高い製品として生産されている。紙の再生から製品化までを地域と協力しながら進めることで、SDGsの目標である「働きがいも経済成長も」にもつながっている。

企業の参加事例としては、中京テレビ放送株式会社が不要になった名刺30kgを回収し、ミニうちわ3000枚に再生。

いすゞテクノは社内の古紙7kgをカレンダーやうちわへとアップサイクルした。また、横浜幸銀信用組合は9kgの古紙を「花の種カード」4000枚として活用し、来店客への配布を行なった。プロジェクトを通じて、名刺やカレンダーだけでなく、ブランドタグやメモ帳、うちわといったさまざまな販促物へと再生され、企業の環境意識を高める取り組みにもつながっている。

同社代表・野口世津子氏は、「企業が自らのオフィス紙を再生し、それが新たな形で活用されることで、資源の大切さを実感できる。この循環を広げ、未来に花を咲かせる活動を続けていきたい」と語る。

2025年は、さらなる企業の参加を募るとともに、製造規模の拡大も視野に入れている。持続可能な社会の実現に向けて、「古紙から花へ」プロジェクトは今後も紙の可能性を広げていく。

花咲く和紙 「古紙から花へ」プロジェクト
有限会社スープ
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