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使用済み割り箸61万本が家具に。万博カナダ館で体感する、循環型デザインの未来

都市に眠る資源を再発見し、未来のものづくりにつなげる挑戦が、2025年大阪・関西万博のカナダパビリオンで注目されている。使用済み割り箸を再生素材として活用するカナダ発のアップサイクル企業、ChopValue Manufacturing Japan株式会社が手がける特注家具や空間デザインが、同パビリオンで来場者の関心を引いている。

今回アップサイクルされた割り箸の総数は約61万本。これにより約3万キロもの二酸化炭素の排出が抑制された。万博の理念である持続可能性に強く呼応するこのプロジェクトは、廃棄物を価値ある素材へと転換する「クローズドループ(循環型)製造」の実践例として、来場者の大きな関心を集めている。

パビリオン内の目玉のひとつが、同社が製作した全長7メートルの巨大な会議テーブルだ。このテーブルは22名が同時に着席可能で、商談やイベント、パーティーなど多様な用途で活用されている。収納キャビネットに加え、Air Canada(エア・カナダ)が運営する飲食エリア「デスティネーション・プーティン・バイ・エア・カナダ」の注文カウンター、壁面パネル、天板なども同社が手がけており、設計から施工まで一貫して対応している。

また、来場者を迎えるパビリオンスタッフの名札に至るまで、同社製のアップサイクルプロダクトが使用されており、細部にまで循環型デザインの哲学が行き届いている。

カナダパビリオンのコンセプト「Regeneration(再生)」は、春の訪れとともに凍った川が解けて流れ出す自然の循環をイメージしたもの。パビリオン外観はカナダの「水路氷結」をモチーフにしており、内装との対比の中で、あたたかく、開放的で前向きなカナダの姿勢を体現している。

同社のプロダクトもまた、この再生のコンセプトと深く呼応する。都市で排出される膨大な数の割り箸を資源と捉え、独自の技術で圧縮・再加工し、高品質な家具や建材として新たな命を与える手法は、カナダ発の循環型ビジネスのイノベーションである。

ChopValueは2016年、カナダ・バンクーバーで創業された世界初の「マイクロファクトリー」型アップサイクル企業だ。使用済み割り箸を地域ごとに回収・再加工し、地域で消費する仕組みを構築しており、現在は世界9カ国で80を超えるマイクロファクトリーを展開している。日本法人であるChopValue Japanは2024年に設立され、翌2025年には神奈川県川崎市に国内初のマイクロファクトリーをオープン。日本全国で年間200億膳を超えて廃棄される割り箸のアップサイクルに本格的に取り組んでいる。

大阪・関西万博は、持続可能な社会の実現に向けた先進的なイノベーションの展示場でもある。会場を訪れた人々は、ただ目にするだけでなく、実際に触れ、使用し、循環型のものづくりがもたらす可能性を肌で感じることができるだろう。


ChopValue Japan
ChopValue Japan公式Instagram

カナダパビリオン | EXPO 2025 大阪・関西万博公式Webサイト


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