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役目を終えた陶磁器灰皿が照明に変身。アップサイクル照明「ハイ●ライト」

喫煙率の低下とともに役目を終えた陶磁器の灰皿が、新たな命を吹き込まれ照明器具として蘇った。soiro living合同会社が2025年5月にリニューアル発売した「ハイ●ライト~陶磁器の灰皿から生まれた灯り~」は、穴を開けて灯具を取り付けるという最小限の加工で、廃棄されるはずだった美しい工芸品を現代の暮らしに蘇らせる画期的なアップサイクル製品だ。

家庭での喫煙が減少するなか、灰皿の役割は次第に薄れ、使用されることなく捨てられることも多くなった。日本の成人喫煙率は約15%で、1990年代と比較すると半減している。時代とともに暮らしの道具もまた行き場を失っているのが現状だ。

しかし、こうした灰皿の中には、九谷焼や有田焼、美濃焼といった日本各地の伝統工芸に根ざしたものも多く存在する。厚みのある磁器や艶やかな釉薬、細やかな絵柄や意匠は、たとえ本来の用途を失ってもなお、工芸品としての魅力を放っている。

同社は、これらの陶磁器の灰皿に最小限の加工、すなわち「穴を開けて灯具を取り付ける」という“ひと手間”を施すことで、ペンダントライトとして再生させた。原型を活かすこの手法は、素材の持つ造形や意匠を損なうことなく、その美しさをそのまま暮らしの中に取り入れることができる。再成形や焼き直しといった工程を伴わないため、環境への負荷を抑えながら、手ごろな価格帯での提供も実現している。

「ハイ●ライト」は、各地で実際に使われていた一点物の灰皿を素材としているため、同じ照明は二つと存在しない。表面に描かれた花詰模様、釉薬の奥行き、点灯時と消灯時に見せる表情の違いなど、それぞれが固有の魅力を宿している。照明としての実用性に加え、選ぶ楽しさや偶然の出会いも、生活に彩りを与えてくれる要素となっている。

照明器具の仕様はLED対応の口金E17型で、天井に簡単に取り付け可能な引掛けシーリング式。価格は16,800円(税込)からで、名古屋市の店舗「ソイロ~アップサイクルとDIYの店」および公式オンラインストアにて販売中だ。

soiro livingは、「本当に大切なものを、使い続ける社会へ。」を掲げ、役目を終えた道具や素材にもう一度息を吹き込む活動を行っている。リメイクやリユースを通じて、モノに宿る記憶や技術を未来へつなげるというその姿勢は、今あらためて見直されつつある「長く使うことの価値」に通じている。

時代の変化によって不要になった道具に、新たな命を宿す。その静かな光は、持続可能なものづくりと丁寧な暮らしの在り方を照らしている。

soiro living合同会社|ソイロ|


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