URLをコピーしました。

青森りんごをアップサイクル。国産エシカルレザー「RINGO-TEX®」

バッグや財布、腕時計ベルトなど、レザー製品は日常に欠かせない存在だ。近年では、動物由来ではない「ヴィーガンレザー」や「エシカルレザー」といった新たな素材が誕生し、環境や社会への配慮を意識した選択肢が少しずつ広がりつつある。そうした取り組みの一つが、青森県発の国産エシカルレザー素材「RINGO-TEX®(リンゴテックス)」の展開だ。

青森県は、年間約44万トンのりんごを生産する日本有数のりんご産地だ。一方で、加工工程で発生する搾りかすや剪定枝などの廃棄物は年間でおよそ16万トンにのぼり、その処理にかかるコストや焼却時に排出されるCO₂は、地域の環境課題の一因となっている。

こうした課題に対し、appcycle株式会社は、廃棄りんごを原料とした国産エシカルレザー「RINGO-TEX®」を開発。同素材は、廃棄物由来のアップサイクル原料を72%使用し、動物性素材を一切含まないヴィーガンレザーとして誕生した。これにより、環境負荷の軽減に加えて、アニマルウェルフェア(動物福祉)にも貢献している。

RINGO-TEX®は、石油由来ポリウレタンの使用量が少なく、製造や廃棄の各工程で発生するCO₂の削減にも寄与している。質感は従来の合成皮革と同等でありながら、香りや色がなく、加工性にも優れている点が特徴だ。

これまでに、ANAの特別塗装機「ANA Green Jet」のヘッドレストカバーや、青森県出身のタレント・王林が手がけるアパレルブランド「What Is Heart(わいは)」のバッグやキャップなど、多様な製品に採用されてきた。

また、同社は弘前市と包括連携協定を締結し、津軽塗やこぎん刺しといった地域の伝統工芸との新たな価値創出や、海外との産業交流を通じた地域の活性化にも取り組んでいる。

RINGO-TEX®は、廃棄りんごという地域資源を活用した持続可能な素材であり、環境への配慮と地域課題の解決を両立する取り組みの象徴ともいえる。今後、さらなる用途の拡大と普及が期待される。

appcycle


News新着記事