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結ぶ、伝統と未来。ヴィンテージ帯が生まれ変わる「Musubu STUDIO」の循環型ファッション

着物文化が息づく日本から、世界のファッションシーンへ——。アップサイクルによる一点物のバッグやアクセサリーを展開するサステナブルラグジュアリーブランド「Musubu STUDIO(ムスブ スタジオ)」が、2025年5月、南フランス・カンヌにて華やかなグローバルデビューを果たした。

「Musubu STUDIO」は、使われなくなったヴィンテージの帯に新たな命を吹き込み、「ウェアラブルアート=纏うアートピース」として再構築するブランドだ。創業者の河野友香氏は、LVMHグループをはじめとする国際的ファッションブランドのマーケティングを手がけてきた経験を持ち、日本の伝統が持つ潜在力を再編集する形で、ブランドを立ち上げた。

カンヌ国際映画祭の公式セレモニーでは、「Cannes Collection 2025」を発表。金糸や銀糸が織りなす煌びやかな帯を用いたクラッチバッグは、実際にセレブリティたちの手に渡り、レッドカーペットで披露されるなど、国際的な注目を集めた。さらに、現地の名門ホテルで開催された招待制ファッションショーにも参加し、纏う伝統が各国のファッション関係者から高い評価を得た。

「Musubu STUDIO」のもう一つの大きな特徴は、伝統工芸とサステナブルな価値観の融合にある。使用する帯はすべて厳選されたヴィンテージ品で、バッグの裏地や持ち手にも純国産の絹を用いるなど、100%メイド・イン・ジャパンにこだわっている。組紐を用いたストラップや、格式高い西陣織・佐賀錦を使用するなど、職人技と現代的なデザインの調和が光る。

同ブランドは、今回のカンヌでの発表を起点に、ヨーロッパ展開を本格化。フレンチ・リヴィエラを拠点とするクリエイティブ企業「Marutech(マルテック)」との提携を通じて、「Musubu STUDIO France」としてパリ、ミラノなど欧州主要都市への進出を目指している。今後は現地クリエイターとの共同開発も視野に入れ、ローカルとグローバルが結び合う持続可能なファッションモデルを構築していく予定だ。

さらに6月には、ブランド誕生の原点ともいえる瀬戸内にて、「Setouchi Collection 2025」を発表。カンヌで得た手応えを胸に、再び日本の地に立ち戻り、地域とともに歩む第二章をスタートさせた。

新コレクションのテーマは「瀬戸内ブルー」。瀬戸内の海と空の穏やかな青を表現した帯を再構築し、クラッチバッグやトート、アクセサリーなどへと仕立てた。いずれも一点物で、地域に根ざした職人の手仕事によって生み出された纏うアートだ。価格は、ダブルリボンクラッチが96,800円、シグネチャーシルクトートが60,500円、エブリデイサコッシュが36,300円、ピアスが4,840円。全て税込価格だ。

同コレクションの制作には、香川・愛媛など瀬戸内エリアのクリエイターが集結。讃岐手まりや庵治石のアートガラス「Aji Glass」、さらには瀬戸内の絶景を背景にした撮影地など、地域文化を全面に押し出したオール瀬戸内体制での展開となった。展示会場も、香川県さぬき市の一棟貸し宿「瀬戸内Tabito」となっており、宿泊者限定の展示体験を通じて、伝統工芸と暮らしの距離を縮めている。

「Musubu STUDIO」は、単なるファッションブランドではない。伝統と革新、地方と世界、個人と社会を「結ぶ」ことを使命とし、日本の美意識を次世代につなぐ試みである。その歩みは、地域の職人技を世界へと解き放つと同時に、モノを長く大切に使うという価値観の再発見をも促している。過去から未来へ、ローカルからグローバルへ。「結ぶ」ことで、サステナブルな未来を共につくっていくブランドだ。

Musubu STUDIO ミニポップアップ開催概要

開催日程:2025年6月24日(火)〜8月31日(日)予定
展示場所:「瀬戸内Tabito」内
住所:香川県さぬき市津田町津田字汐田2571-248 

Musubu STUDIO
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