
アップサイクルブランド「SEAL」を展開する株式会社モンドデザインは、2025年大阪・関西万博ルクセンブルクパビリオンで使用される膜屋根素材を再利用した、世界初となる限定バッグコレクションを発表した。バッグの製造は大阪の老舗鞄メーカーと連携し、「Made in OSAKA」として再構築されている。

同プロジェクトは、万博の基本理念である「サーキュラー・バイ・デザイン」に基づき、使用後の建材を無駄なく再資源化することを目的としている。ルクセンブルクパビリオンは、あらかじめ解体を前提に設計されており、使用された膜屋根素材は、フランスのSerge Ferrari社が開発した高機能なものだ。この素材を万博終了後に回収し、バッグや小物へとアップサイクルするプロジェクトが開始された。

「SEAL」はこれまでも廃タイヤチューブをはじめとする廃材を用いたバッグを展開してきたが、今回は初めて建材の膜素材を使用。加工が難しい素材ではあるが、大阪の職人の手によって一点ずつ丁寧に仕立てられ、耐久性と防水性を兼ね備えた製品として生まれ変わった。製造を担うのは、大阪府和泉市の老舗メーカー「株式会社ふく江」だ。


製品ラインナップは全4種。清潔感のある白を基調とし、素材の特性を活かしたミニマルなデザインが印象的だ。展開されるのは、旅行にも使える「ボストンバッグ Mサイズ」、独特のフォルムが特徴的な「ワンショルダーバッグ Spiral」、眼鏡を守る「グラスケース」、そしてコンパクトに持ち歩ける「ミニウォレット」の4アイテム。いずれも本革をあしらい、高級感と実用性を兼ね備えている。価格は、ボストンバッグ Mサイズが33,000円、ワンショルダーバッグ Spiralが17,600円、グラスケースが7,700円、ミニウォレットが11,000円、全て税込となっている。




これらの製品は、2025年5月15日(木)より万博会期中のルクセンブルクパビリオン内およびSEAL表参道本店で展示され、予約販売が開始された。製品の発送は2026年5月を予定している。

「SEAL」は、2007年に設立された、環境配慮型のものづくりを軸としたブランドだ。廃材を独自のデザインと国内の高い技術力で再生し、新たな命を吹き込む。その背景には、使い捨てではない持続可能な価値観を届けたいという思想がある。また、売上の一部を世界自然保護基金(WWF)への寄付や植林活動に充てるなど、社会的な取り組みも積極的に行っている。

今回のプロジェクトは、万博が目指す持続可能な未来を体現するだけでなく、大阪の技術とものづくりの誇りを形にしたものである。万博を彩った建築素材が、日常使いのバッグとして私たちの暮らしに寄り添うこの試みは、リユースやアップサイクルの可能性をさらに広げる一歩となるだろう。
SEAL LUXEMBOURG PAVILION EXPO 2025 OSAKA
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