捨てずに活かす店づくり。LUSH SPA新宿店が描くブランドの未来
ナチュラルコスメブランドとして世界中にファンを持つ「LUSH(ラッシュ)」が、ブランドの新たな体験拠点として「LUSH SPA 新宿店」を2025年6月13日(金)にオープンした。JR新宿駅新南口から徒歩2分という立地に構える路面店は、全4階建て、売場面積はおよそ460㎡。商品の販売はもちろん、スパトリートメントやポップアップ展示など、五感でラッシュを感じられる空間として設計されている。

この新店舗の最大の特徴は、「LUSH」が掲げるサステナビリティの精神を、空間づくりそのものに落とし込んでいる点である。「地球をよりみずみずしく、豊かな状態で次世代に残す」というブランドパーパスのもと、「買うより直す」姿勢を徹底し、什器や設備の約3割を他店舗からリユース。また、デジタルサイネージの8割以上も再利用品で構成している。

内装素材にも環境への配慮が込められている。壁面の左官材には、印刷不良などで製品化されなかったオーガニックコットン製Knot Wrap(風呂敷)をアップサイクル。水を加えれば再利用可能という特性も備えており、店舗スタッフ自らの手で塗り上げるプロセスも含めて、ラッシュらしい手作りの哲学が感じられる仕様となっている。
さらに、店内ディスプレイには再生原料を約80%含む再生アクリル「リアライト®」を採用。従来は英国から100%リサイクル素材を輸送していたが、国内生産への切り替えにより輸送による環境負荷を低減させた。加えて、非可食バイオマスを原料としたバイオマス塩ビシートも什器に一部採用されており、素材選定の段階から地球環境への配慮が徹底されている。

体験型の仕掛けも充実しており、1・2階のリテールフロアには12台のシンクを設置。子どもの背丈に合わせた仕様も用意され、あらゆる来店者が商品を試すことのできる店舗となっている。2階のポップアップスペースでは、ブランドのテーマに沿った感覚的な体験が展開され、今後もコーヒーショップや素材に焦点を当てた展示、感情やウェルビーイングに寄り添う体験などが順次登場予定だ。
今回の出店は単なる販売拠点にとどまらず、同社のこれからを映し出す実験場とも言えるだろう。環境配慮とクリエイティブの両立、リユースとアップサイクルを軸にした空間設計は、循環を前提とした未来の店舗の在り方を示している。
使い捨てではなく、手をかけながら長く使う。地球にも、人にも、未来にも優しい選択肢を、「LUSH」は店づくりというかたちで表現した。この空間そのものが、ブランドが目指す美しさと豊かさを体現するプロダクトといえるだろう。