りんごの搾りかすが紡ぐ景色。再生素材「Adam」のインテリア
ジュースやシードル製造の過程で廃棄されるはずだったりんごの搾りかすが、インテリアの新たな風景を生み出している。青森県に拠点を置く株式会社KOMORUは、自社開発のアップサイクル素材「Adam(アダム)」を用いた新たな生活プロダクト4点の販売を開始した。

青森県産りんごの搾りかすを用いた「Adam」は、りんごの種や皮、果肉の繊維などをそのまま活かしたシート素材であり、人工着色を行わず、自然由来の色や風合いがそのまま表現されている。果実の記憶を内包するその不均一な質感は、均質化された素材にはない奥行きと温もりを持ち、まさに「素材が語る」存在として注目を集めている。

今回発表されたプロダクトは、ウォールミラー、フラワーベース、バスケットトレー、テーブルライトの4種類。いずれも「Adam」を主材としながら、東京を拠点とするデザインスタジオ「M&T」および「21B STUDIO」との協業により生まれたものだ。


なかでもウォールミラーとバスケットトレーは、高周波ウェルダーを用いた新たな製法によって、「Adam」素材にクッション材を組み合わせ、柔らかな立体感を実現している。この技術は「Adam」として初めての試みであり、素材の可能性をさらに広げる成果となった。価格は、ウォールミラーが税込36,000円、バスケットトレーSサイズが税込13,800円、Mサイズが税込18,000円。


一方、フラワーベースやテーブルライトは、「Adam」の半透明の特性を活かし、光や影との調和を意識したデザインとなっている。特にテーブルライトは、建築的なフォルムと果実由来の素材感が融合し、空間に自然な存在感をもたらす。光を透過する際に見える繊維の揺らぎが、工業製品とは一線を画す趣を醸し出している。価格は、フラワーベースSサイズが税込4,800円、Mサイズが税込5,800円。2025年冬に販売予定のテーブルライトは、販売予定価格が34,000円となっている。
これらの新作はすべて数量限定で、6月18日より公式オンラインサイトにて予約販売を受付中。さらに発売開始から1か月間、送料無料キャンペーンも実施される予定だ。
同社は、2025年に世界的ファッションブランド「doublet(ダブレット)」との協業でパリ・ファッションウィークにも「Adam」素材を提供し、国内外での評価を高めてきた。循環や再生という言葉が消費の中で軽く扱われがちな今、「Adam」のアプローチは、日々の暮らしの中で「素材の物語に耳を澄ます」ことの大切さを静かに伝えている。透明なシートに宿る果実の記憶は、過去から未来へ、消費から再生へと視点を転換する一助となるだろう。