廃材で広がる創造の世界、木育フェス2024「廃材アートコンテスト」の力作決定
埼玉県さいたま市を拠点に木造建築を手掛ける株式会社AQ Groupは、2024年8月に全国の小学生親子を対象としたSDGsイベント「夏休みの木育課外授業 つくろう!木育フェス2024」を開催した。このイベントの目玉である「廃材アートコンテスト」では、木造建築で生まれた廃材を素材とし、子どもたちが自由な発想で制作した作品が多数集まった。
審査の結果、「金賞」「ひらめき賞」など各賞が決定。本コンテストは、子どもたちが木に触れる中で環境問題への理解を深め、創造力を育むことを目的としている。企業の廃材を単なるゴミとせず、未来を担う世代の学びや感性を育む資源とする取り組みは、大きな反響を呼んでいる。
地球温暖化や森林減少といった環境問題に対し、同社は「木望の未来プロジェクト」や「地球の森守りプロジェクト」などを通じて継続的に取り組んできた。同社が開発した「木のストロー」は、学校のSDGs授業でも採用され、環境教育の一環として注目されている。これらの活動は木材を活用することで資源を循環させるだけでなく、次世代への教育的価値を高める取り組みとして展開されている。
本コンテストは8月10日から9月8日までの期間、AQ Group本社ビルほか全国の拠点で廃材を受け取り、オンラインで作品を応募するもの。参加対象者は全国の小学生だ。小学4年生以上と小学3年生以下の部門に分かれ、作品のクオリティや独創性が競われた。
小学3年生以下の部では、森澤みうなさん(小3)の作品「恐竜」が金賞を受賞した。爪や肘の細部まで忠実に表現されたこの作品には審査員から「恐竜の細部まで見事に再現されている」との高評価が寄せられた。森澤さんは「恐竜博士になりたい」という夢を語り、多くの注目を集めた。
一方、小学4年生以上の部では、王ゆきさん(小4)の「ドリームハウス」が金賞を受賞。木のストローを用いた屋根が「自然との共生を考えた設計」として評価され、審査員に深い感銘を与えた。王さんは「人と自然が仲良く暮らせる家を作りたいという思いを込めた」と語っている。
また、今回新設された「ひらめき賞」は、子どもの純粋な発想を評価する目的で設けられた賞で、北井陽翔さんの「みんなで演奏楽器」と神森衣月さんの「車みたいなカメラ」が受賞。北井さんの作品は廃材を楽器にするという斬新な発想が高く評価され、神森さんの作品は異なる形や色の木を組み合わせた独創的なデザインが注目を集めた。
審査委員長の三井所清典氏は「子どもたちの豊かな発想には毎年驚かされる」と語った。また、東京大学名誉教授の稲山正弘氏は「木材と触れ合うことで日本の木造文化を継承してほしい」と期待を寄せた。これらの作品に触れた審査員たちは、いずれも子どもたちの未来への可能性を感じたという。
同社の宮沢俊哉代表取締役社長は、「木を大切に使うことで環境問題に貢献し、次世代に持続可能な未来を繋げていきたい」と今後の展望を語った。