地域資源を未来につなぐ。icebreakerと北杜市が挑む“捨てるを活かす”ものづくり
株式会社ゴールドウインが展開するアウトドアブランド「icebreaker (アイスブレーカー)」は、山梨県北杜市と協業し、自然由来の染色によるメリノウール製品「Nature Dye (ネイチャーダイ)」シリーズを2025年3月12日に発売した。廃棄される植物資源を染料として活用し、環境負荷を抑えたサステナブルな取り組みだ。

icebreakerは1995年にニュージーランドで創業した、ウールなど天然素材を中心とするアウトドアウェアブランドだ。着心地と機能性の両立を追求しつつ、素材と地球環境への配慮を重視して製品を開発している。
今シーズンの「Nature Dye」シリーズは「捨てるを活かす」をコンセプトに、北杜市の自然資源を用いて環境負荷を抑えたコレクションとして展開。同ブランドが掲げる「自然環境と調和した製品づくり」と、北杜市の「森を育て、水を守る」という理念が重なり、協業へとつながった。

神代桜の子桜の剪定枝を染料として提供した実相寺の住職・松永良樹氏は「仏教ではあらゆるものに意味があると考えられており、人間都合で『不要』とされるものに新たな役割を与えることも仏教の精神に通じる」と語っている。
同シリーズは8年目を迎え、染色に使用された水が排水時に環境へ悪影響を及ぼさないよう、適切な処理を施す仕組みを採用。自然との共生や循環を意識したものづくりを続けている。



今回は、神代桜の子桜の剪定枝や有機栽培の紫キャベツの外葉など、地域の自然資源を染料として活用し、自然由来のやさしい色合いを3色展開。
桜吹雪を思わせる淡いピンクの「サクライロ」と、幹の力強さを感じさせる赤褐色の「サクラノキ」はいずれも神代桜から抽出された染料を用いており、通常は処分される剪定枝に新たな命を吹き込んだものだ。また、濃いネイビーが印象的な「ムラサキキャベツ」は、有機栽培の紫キャベツの外葉を原料に、野菜ならではの自然な発色が魅力となっている。
いずれの製品にも、天然素材であるメリノウール100%の生地が使われており、Tシャツ、ショートパンツ、ネックゲーターの3アイテムをユニセックスで展開。化学染料を使わず、自然との共生を目指すものづくりの姿勢が体現されている。



また、Nature Dyeシリーズの製品は家庭用洗濯機で洗えるよう設計されており、普段使いの弱アルカリ性洗剤で洗濯が可能だ。日常の手入れがしやすく、扱いやすさも特長の一つとなっている。公式サイト内の「HOW TO CARE」ページで確認できる。

製品と同じ染料素材を使った染色ワークショップも開催されている。オリジナル手ぬぐいを染める体験型イベントで、以下の4店舗にて実施予定だ。
- THE NORTH FACE 松本(4月26日・27日)
- GRAVITY KANDA(5月3日・4日)
- THE NORTH FACE/HELLY HANSEN 藤井大丸(5月17日・18日)
- THE NORTH FACE コクーンシティ コクーン2(5月31日・6月1日)
参加費は税込1,650円。詳細は各店舗で案内されている。

icebreakerと北杜市による同プロジェクトは、自然由来の素材を活かした製品づくりと地域資源の有効活用を両立させた取り組みだ。着る人と自然をつなぐ新たな選択肢として、持続可能な社会に向けた選択肢のひとつとして提案されている。